「玄関であの子の靴見かけたんだけど、まさか寝坊してるんじゃないわよね」



母親が体をひねって、テーブルの僕に話をかける。


あの子とは、おそらく姉のことだろう。


なぜ、今起きたばかりの僕に聞くんだ。



「起こした方がいいかしら?」


「今日はマラソンがあるから、運動靴履いてくって言ってたよ。

念のため、家出る前に部屋は覗いてみるけど」


「そう?」



じゃあお願いねと、朝の会話はそれで終了した。



まあ、家族との会話なんてこんなもんだ。