――とまあ、そんな事を考えていないと頭が暇なわけで。


暇な脳みそとは裏腹に、手は忙しなく働いている。


僕は今、庭で昨日洗濯しておいたソファのカバーを干している。


これが思いのほか大きくて重く、寝起きの体には特に堪える。



そして、それが昨晩との繋がりを見せつけ、

ちさとが僕のせいで発作を起こしてしまったこと、

それだけが現実なのだと突きつけられる。




「爽?もう時間だけど」



掃除機の騒音が止むと、縁側から母親が顔を出す。


朝から何やってるのこの子は?とも言いたげな、怪訝な目。



僕も街でおかしな人を見かけた時にはこんな顔をするが、

仮にも家事の最中の息子に向けるものではないだろうに。



それに、母親だってちさとの発作の事を知っているのだから、

少しは察して欲しいものだ。