べちゃっとした。


思わず手を離そうとする。



―――なんだ、これ。


手が離れない。


皮が、引っぱられる。



ちさとのもう片方の手には、"瞬間接着剤"って書いてある物が、にぎられている。


お母さんたちが、子供は使っちゃだめだよって、どこかに隠していたやつだ。



ちさとは、おしおきと言って、ぼくとちさとの指の先を思い切りかんだ。


思わず、手を思い切り引っぱってしまったせいで、手のひらの皮がべろんとはがれかけた。


痛い、熱い、痛い



そこに、でかけていたお母さんが帰ってきて、ぼくたちを見て真っ青になった。


そしてそのまま、病院へ連れて行かれた。




その日、ぼくは前みたいに叩かれたり、にらまれたりしなかったけど、

ケガした右手はしばらく、ずっと、ひりひりしてすごく痛かった。


まだえんぴつも、ちゃんとにぎれない。



ぼくは"いや"だったちさとを、"こわい"って思うように、なった。