ちさとが僕の唇を食べた。




ちさとはプールのビニール部分を背もたれのクッションにし、後ろに向かって身を乗り出し、

背後にいる僕の頭に腕を回す。



お互い、頭のてっぺんの向く方向が逆になる体勢だ。




目を見開き、唖然としていると、僕の中に、ちさとの舌が入り込んでくる。



そのまま口内を嘗め回され、歯列の裏をなぞられ、

そして僕の舌に絡み付き、自分の口内に引きずり込もうとする。



そして舌の動きと連動するように、僕の頭に回している腕に力を込め、

顔の角度を変えながら、奥へ、奥へと突くようにする。



その動きは一層激しさを帯びてゆき、喉の奥を突かれたところで、

僕は苦しさで我に返り、ちさとを引き離した。





「…………………こら」



「えへへーん…。
そーちゃん、顔赤い」



照れじゃなくて夕日でね。



…夕日でね。