「はい、完了です」



そう締め括ると、乾いたタオルで髪をぐしゃぐしゃと掻き回す。



CMで見るような、柔らかさが凝縮されたタオルとはほど遠いのに、

それでもちさとは嬉しそうで、目と口で弧を描いた笑顔を僕に向ける。



「はあ~~…、
幸せだったぁ~~~…」



後ろの僕に向かってパンチをするように、背伸びする。



そして満足行くまで体を伸ばした後、突然目を見開き、きらきらと輝かせた。



「じゃ次はそーちゃんの番ねっ♪」



うーん。

そのまま忘れてくれるのをちょっと期待してたんだけどなあ。



しょーがない。


約束だし。



僕はしゃがんだまま、黙って頭を差し出す。



「むむむ?
今度はそーちゃんが入る番だよ?」



「いや、僕はその………、大丈夫。
ちさとが冷えたら、僕が嫌だし」



ちさとは頬を膨らます。


なのでそれを、人差し指の先でつつく。



すると、ちさとのほっぺた風船に穴が空いて、絞んでいった。



「わかったぁ」



シャンプー効果か、珍しくちさとが素直に折れた。



「じゃ、そーちゃん♪
お洋服が濡れちゃうから、もっと下向いててね」


「……はーい」



そうして下を向こうとした瞬間、僕は度肝を抜かれた。