僕らが同じシャンプーを使い始めるきっかけとなったのは、

クラスの女の子が家族とは別の物を使い始めたと言っていた事だった。



これは、色気の欠片もなかったちさとに、女心(乙女心?)が芽生えた瞬間でもある。



そして、ちさとは何の影響を重ねて受けてしまったのか、

僕とお揃いの物を使いたいと言いはじめた。


もちろん家族とは別物で、だ。



その時ちさとが使っていたのは、ラベンダーだかバラだかの香りの、とにかく乙女度全開の物で、

いくらシャンプーに興味のない僕でも、さすがにそれは気が引けてしまった。



しかし、ちさとのわがままを断る術もなく、

僕が最大限に譲歩したのがこの香りだ。



どの年代、性別にも安定した好感度があって、

男が使っていてもギリギリセーフな香り。



僕も嗅ぐ分には率直に好きな香りで、ちさともまた、僕と同じ意見だった。