『そーちゃんとなら、殺されてもいいなぁ』



ちさとはこの言葉を、口癖のように何度も言う。



『だから、そーちゃんが殺されたらちさとも死ぬし、
そーちゃんが生きるなら一緒に生きる』



僕はちさとが死んでも生き続けるけどね。



…いや、


正確に言えば"生き続けている"、か。





僕は弱虫だ。


好きな子のためなら、たとえ火の中水の中―――なんて、嘘でも言えない弱虫だ。



昔、そう冗談ぽく言った事がある。


ちさとは『まぁそうだよねぇ』と控えめに笑った。



『じゃあやっぱり、おじーちゃんおばーちゃんになって長生きしなきゃね』



そう、約束したのに。


僕が弱虫だって、知ってるのに。


なのにちさとはいなくなってしまった。


僕を拒絶した。


一緒に生きることを、拒絶した。


守れない約束なんか、何でするんだよ。


どうしてどうしてどうして、何で何で何で。



そうやって憎んで憎んで憎んで嫌って好きで苦しい、苦しくて憎んで嫌って嫌って憎んででも苦しい。




ねえ、僕はどうすればいい?