「あんたの事は必ず守るって、約束したのにね。
結局傷つけちゃった…ごめんね」



それは腹の傷のことなのか。


…いや、


僕には二度目の殺人を肯定する言葉に思えてならない。




一度目は、ちさとにこの場所を教えてしまった時。



二度目は、僕がこの三日間見ていたちさとの面影に、幻に、別れを告げてしまった時。




ああそうだよ。


ちさとはもう、いないんだ。








サイレンの音が、聞こえる。



深い木々の隙間に、赤いランプが見えるようになる。



…そんな中。



丸が少し欠けた月の下、ただただ、自分にそっくりな誰かの嗚咽が響く。













こうして、一人の少女が殺害された事件は、幕を閉じた―――。