この世界で二度きみを殺す

「だから、――――…、僕に、近付いたの?
復讐、し終えたのに、ちさとが…、生きてるから」



進藤さんは口を硬く結び、首を縦に振る。…否定もなしか。


この件が絡んでいるからとは言え、進藤さんの優しさは嬉しかったのに。


だから、持ち出す武器はバッグと辞書だけだったんだけど。


これが某N君だったら大いにハンムラビ法典に同意していたかもしれない。



蛍光灯の威力も相まり、視界にあり得ない色が見え始める。



「襟元の盗聴器…、いつ、仕掛けたの?」


「先月ぐらい。体育の時。そっちこそいつ気付いたの」



"そっち"、か。


はぁ…、紫とかショッキングピンクの木なんて、この辺にあったっけ。



「ここに倒れてるちさとを抱き上げた時。
これで、あの日もちさとが一人だった事を知ったんだろ?」



僕がちさとにこの場所を教えたことを。


そして、僕が委員の仕事を終えるまで、ここに一人でいるということを。



「違う」



進藤さんは言った。