その公園は、学校の裏側にある。
学校から校庭側は、田んぼやまばらな人家があるのみで見晴らしがいいが、
裏側は木々が鬱蒼と茂っていて、初夏~秋は昼間でも暗い。
そのせいか変質者が頻出するという事で、わざわざこちら側の狭い道を使う生徒も先生もほとんどいない。
ましてこの時間帯など、人が通る可能性は皆無に近いだろう。
そんな中に、隠れるようにある公園。
周りの木々が侵食していて遊具はおろか、出入り口すらあやふやである。
こんな場所、一体誰が使うんだか。
………。
一人だけ、待ち合わせ場所に使うやつがいたのを忘れていた。
ちさとは人混みがアレルギーレベルに嫌いで、赤の他人についてもまたしかり。
つまる所、人がいない場所を好む。
まあ、付き添いの人間がいる場合は話が異なってくるので、何とか集団生活も営んでいるわけだが。
それにしても、待ち合わせ場所をなぜここに?
ここから十分ほど家に逆戻りした花屋とやらに向かうのだから、無駄足になるだろうに。
乙女の考える事はわからない。
これじゃあ、わざわざ殺されに来ているようなものじゃないか。
…わざわざ、殺されに。
………。


