この空間は、白い壁とこげ茶色の小物や柱で統一されていて、

床から天井にかけての大きな窓の前にある、上品めなパイプ椅子。


ちさとはそこに腰をかけ、ただひたすらに窓の外を見つめていた。



いつの間に晴れたのか、差し込む光に照らされたその姿が、

窓から見える黄緑色の芝生の絨毯や、名もわからない白い花々、

そして柱や花壇の縁を縦断する綺麗に整えられた蔦たちに、美しく彩られている。


陽によって露になった部屋の埃さえも、きらきらと、さらさらと、彩の一部として輝く。



ずっと、こうして見ていたい。



そう思っている自分に気づくには、あまりにも綺麗な姿で。


僕は空っぽの頭で、足元のちさとに吸い込まれるように見つめていた。



それから、どれほどの間こうしていたのだろうか。



「――あ」



と、ちさとは顔をこちらに向け、薄い唇を僅かに開かせた。



そのままゆったりと立ち上がり、3歩程度の距離を小刻みに歩き、近づいてくる。


それに合わせて僕も上体を起こすと、

ちさとに抱きつかれた。