この世界で二度きみを殺す

『――ふ――――…』



深いため息で思考を遮断し、曇り空を見上げた。


腰に両手を当て背伸びをしてから、踏み切りを渡る。


そうして草がぼうぼうに生えた脇道に背を向け、独り言を呟いた。



『……何も言ってくれないのが悔しくて、苛々して。
気になって、もどかしくて、何で僕と他人が同じ扱いなんだよって思うのは、何て気持ちなんだろうね』



しつこいけれど、これは僕の独り言。


だから、誰に向けて言ったものでもない。


けれど僕の背後の草むらが、ガサガサと音を立てて答えてくれた。



ちさとがそこに、身を潜めていたのだった。