口にしてしまえば、陳腐でちっぽけな約束。

確約で無いとは知りつつも、それでも欲しいと願う永遠。


言葉では表す事が出来ない想いも、不安も、身体でなら伝える事が出来るのかも知れない。

だから人は肌を重ねるのかも知れない。


欲しいと言う欲望は本能、その真髄は本望。

欲しているのは不安を拭い去ってくれる、人の温もり。


あたしに身体があって良かった。

生まれて来れて良かった。


――出会えて良かった。


「一緒だね」

「あぁ、一緒だ」

幸大と同じ時を共に歩む“今”に、あたしは心から感謝した。


    【END】