幸大を失いたく無い、なんて漠然とした不安を口にする事が怖い。

口にして呆れられたり、束縛だと非難されたり幻滅されたくない。
こんな事を考えるなんてどうかしている。


今までは一緒に居られるだけで満足できたのに――…


「……一緒だよ」

「え?」

突然降ってきた幸大の低い声、あたしはそれに反応して目を見開く。


細い銀縁のフレーム。

レンズ越しに合わさる鳶色はあたしを映し出し、

「俺も一緒」

あたしのひた隠しの不安を暴いて、それに同意だと訴え掛ける。