しばらくして、美香は松山におんぶされながら店を出た。



お酒で火照った体を冷たい空気が撫でていく。




「まったく、とんだ飲み会になっちゃったなぁ。」



松山はため息をつきながら、しかし少し微笑みながら言った。



夜中の静かな道を歩いていると、先ほどの熱いキスの感触を思い出してしまい、顔を赤くした。


柔らかかったなぁ…。



そんないやらしいことを考えてしまっていた自分に気づき、慌てて頭から追い出した。



何考えてるんだ、俺のバカ…!



そんなことをしていると、背中に乗った美香の口から寝言が聞こえた。


「ん~、もっとして…」



なんつ~夢みてんだ、土屋さん…。


「う…ママ…嫌だよぉ……死なないで…」



すすり泣きと共に、今度は美香の悲痛な声が聞こえてきた。



土屋さん……?



「やだ…ママ…死なないでよ…あたしを置いていかないで…。」



土屋さんのお母さんって、もしかして…。




複雑な思いを抱えながら、松山は美香の家に辿り着いた。