ミモザの朽ち木

ミモザの木の下に三人が並び、彼はカメラを構える。


ファインダーから覗く小さな四角いフレームの中で、三人はそれぞれに満足げな表情をたたえている。


鷹揚な人となりに病的なエゴを潜ませる父親。


鬱積した欲望を抱えたまま満たされない日々を送る母親。


二人の血を引く無垢な娘は、この先際限なく世界に穢され、ヒトに穢されていくのだろう。


この家族が破滅していく様を見届けたいと彼は思った。


それは衝動とも言える本能的な欲求で、彼の中に初めて生じた飢えであり、渇きでもあった。


彼は自分を強く駆り立てるものに生まれて初めて遭遇し、不思議な充足感を覚えた。


そしてこの時、いつか彼自身が否定した誰かの言葉が頭をよぎった。


――自分がこの世に存在している理由を見出せ。


彼はシャッターを切り、そして予感した。


あるいはこの衝動的な何かが、自分がこの世に存在する理由になり得るのかもしれない。





(了)