ミモザの朽ち木

しばらくすると乙ヶ部に声をかけられたので、あたしはゆっくりと体を起こした。

乙ヶ部の運んできた料理が、テーブルの上でもうもうと湯気を上げている。

できたての卵がゆ。


「食べるといい」


湯気の向こう側にいる乙ヶ部が言う。


相変わらず食欲はなかったけれど、無下に断るのも気が引けたので、形だけでもとスプーンを手に取る。

ところが、ひと口食べると止まらなくなり、あっという間に全部たいらげてしまった。


「……ごちそうさまでした」


それまで黙りこくってあたしを見ていた乙ヶ部が口を開く。


「最近、様子がおかしいじゃないか。悩みごとがあるなら先生に話してみるといい」


乙ヶ部の話し方は、昔テレビで見た占い師によく似ていた。

静かなのに耳の奥までとどく声。


「先生に話しても、どうにもならないですよ」


「なにか人には言えない、とても信じがたいできごとが乃村の家で起こった。違うか?」


ずばり言い当てる乙ヶ部に、あたしは少し面食らった。

本当に占い師なのかもしれない。

あたしは空になった卵がゆの器をしばらく眺めてから、ためしに乙ヶ部に訊いてみた。