ミモザの朽ち木

乙ヶ部は公園のすぐ裏手にある小ぢんまりとしたマンションに住んでいた。

なにもかもが真新しくて、とても静かなマンションだった。


玄関を上がり、居間っぽい殺風景な部屋に入る。

カーペット敷きの部屋の真ん中に、ローテーブルがひとつだけぽつんと置かれていた。


「少し横になってるといい」


そう言って乙ヶ部は、真っ白なクッションを枕にあたしを横たわらせた。


「なにも食べてないんだろう? 今、簡単なものを作ってやるから待ってなさい」


あたしがこたえる間もなく、乙ヶ部はとなりのキッチンに行った。


ガランとした部屋をひととおり眺めてから、あたしはクッションに顔をうずめて目を閉じた。

クッションはひんやりしていて、額を当てていると気持ちよかった。

少しずつ気分が落ちついていくのを感じる。