ミモザの朽ち木

「朝食もお弁当もいらない」


翌朝の第一声。


結局この日も明け方近くまで眠れなかった。

意識はもうろうとして体は鉛のように重くて、昨日に輪をかけて最悪の気分。


「あなた、昨日からぜんぜん食べてないじゃないの。どうしたっていうのよ? 体の調子が悪いの?」


さすがにママに問い詰められた。

ちょっとダイエットしてるから、明日からちゃんと食べるから、と適当に出まかせを並べてその場をやり過ごし、パパが起きだす前にあたしは急いで家を出た。


登校中、頭がふらふらして危うく車にひかれそうになった。

学校についてからも、起きてるのか眠ってるのかわからないような状態で、いくつかの授業で先生にこっぴどくしかられた。

限界を感じて午後からは保健室のベッドで過ごしたが、さっぱり眠ることはできなかった。

パパがどうしても、あたしを眠らせようとしなかった。


下校のチャイムが鳴ってからどれくらいたっただろう、保健室を出ると廊下は閑散としていた。

あたしはおぼつかない足どりで下駄箱に向かい、オレンジ色に染まったグラウンドを横目に校門を後にした。