ミモザの朽ち木

いつもよりずいぶんと早く学校についたので、教室にはまだ三、四人の生徒しかいなかった。

教室の慣れない静けさが妙に落ちつかない。

あたしは自分の席につくと、机に突っ伏して目を閉じた。

クラスメイトたちの声が少しずつ周囲を満たしていき、やがて教室はいつもの喧騒に包まれ、いつもと変わらない学校の一日がはじまる。


教室にいてもどこにいてもパパのことしか考えられず、あたしは終始うわの空だった。

さっきなんの授業を受けたのかさえ思い出せない。


パパが生き返った。

あたしはこれからどうなってしまうんだろう。

またあの悪夢が繰り返されるんじゃないだろうか。


あたしはよほど暗い顔をしていたのか、何人かの友達が心配そうに声をかけてきた。

あたしはそのつど愛想笑いを浮かべて適当にはぐらかした。


時間はあっという間に過ぎていった。

まるでコマ落ちした映像でも見ているように、いつの間にか昼休みになり、帰りのホームルームになり、気がつくと放課後の教室にあたしひとりが取り残されていた。