ミモザの朽ち木

部屋を出て階段を下りて、洗面所に行く途中でダイニングをのぞく。

パパはいない。

ママが流し台の前で朝食を作っている。

おっかなびっくり洗面所のドアを開けると、そこにもパパはいなかった。


パパなんていない。

ママに訊いてそれを確かめ、一刻も早く安心したかった。


「ママ――」


ダイニングに入ってママに声をかけた時、トイレから水の流れる音が聞こえた。


途端に重苦しい気分になった。

あたしはがっくりと肩を落とし、朝食はいらないとママに告げて、準備もそこそこに早々と家を出た。