ミモザの朽ち木

それ以来、ひかるとの会話は一切なくなった。


ひかるは露骨に私を避けるようになり、当てつけのつもりなのか、以前にも増して好き放題やっていた。

私は口出しをするどころか、極力ひかるのことは考えまいとしていた。

恐ろしくて仕方なかったのだ。

またあの声が聞こえてくるかもしれない。そう思うと、全身がわななくほど緊張した。



毎夜、夢にひかるが現れるようになった。

ひかるは夢の中では何もしゃべらない。

押し黙ったまま、ただ執拗に、あの大きな瞳で私を見ているのだ。

際限のない、どこまでも深い闇を思わせるその眼差しは、じわりじわりと私の内側を侵蝕し、すべてを支配しようとするのだった。


「流利子、大丈夫かお前? ひどくやつれてるじゃないか」


深刻な顔で比佐史が言う。

家庭のことに無関心を決め込む比佐史だったが、私の異変には気づいたようだった。


鏡を見ると、げっそりと頬のこけた知らない女がそこにいた。