ミモザの朽ち木

そして日々は過ぎ、季節は移ろう。


私はどうしてもひかると打ち解けることができず、親子と呼ぶにはあまりにぎこちない関係が続いていた。


ある日、買い物を終えて家に帰ると、ひかると見知らぬ男の子が玄関にいた。

男の子は同級生のようで、市立F中学校の制服を着ていた。


「ちょっと彼を送ってくるから」


ひかるはそう言うと、男の子の腕をつかんで玄関から出て行った。


その日を境に、ひかるは頻繁に男友達を家に連れてくるようになった。

午後の二、三時間を部屋で過ごして、比佐史が帰宅する前には送りに出ていた。


二度目に見かけたのは、最初に会った男の子ではなく、耳にいくつもピアスをした男の子だった。

玄関でばったりと出くわした彼は、私に挨拶もせず帰って行った。


三度目に見かけたのは、ひかるよりも年上と思われる長髪の男の子だった。

彼はうすら笑いを浮かべて、私の体を舐めまわすように見た。


家に出入りしているのは、毎回、違う男の子だった。

以前に比べて、ひかるが学校から帰ってくる時間は随分と早くなり、それにつれて日替わりの男友達が家にいつく時間は長くなった。

部活はどうしたのかとひかるに尋ねると、「そんなのとっくに辞めたよ」と吐き捨てるように言った。


そうして数日が経ったある日、ひかるの部屋から悲鳴が聞こえた。