HEMLOCK‐ヘムロック‐


「それと、鞠 あさみさんもご同行願えますか? 署からこちらにいると連絡を受けたので」

「彼女は心労でとてもその様な状態ではありません。
今、彼女の事務所に連絡して、迎えに来てもらう手筈となってますので、後日そちらに連絡して貰えないでしょうか?」


 きちんとした敬語で対応するも、心なしか、界の声は疲れきっていた。


「……解りました。あくまで任意ですので」


 界は盟と刑事と事務所を出て行く際に、泉に振り返った。


「泉、後頼んだぞ」


 心配掛けまいとした笑顔であったが、余計に泉の心を締め付ける。


「大丈夫よ。任意の事情聴取だもの。きっとすぐ戻れるから」


 盟の言う事も重々理解していたが、気休め程にも感じられなかった。


 こうして2人は刑事に連れて行かれてしまった。
興信所には泉と深く眠る鞠 あさみだけが取り残された。