HEMLOCK‐ヘムロック‐





「この辺なら持ってかれないな」


 透は先程外車が止まってた裏道に車を止めた。
以前張り込み中に違法駐車でレッカーされた事があり、駐車場所選びはいつも慎重にやる。

 とりあえず聞き込みに『Raiz』だ。と、透は店に向かった。

 しかし歌舞伎町に入った辺りで、パトカーや警官が集まっている事に気づいた。そのさらに周りで野次馬が集合している。

そして当の『Raiz』では警察の現場検証が行われていた。


 透は人混みを掻き分け規制ラインに近づくと見知った顔に声を掛けられた。


「透! 丁度電話しようと思ってたんだ!!」

「映!」


 映は先輩の那琵須刑事に会釈し、規制ラインをくぐってやって来た。


「……事件、か?」


 透は規制の向こうの青いシートに目をやった。
あのシートが隠しているのは……。