『捜査一課の森永だけど』
「も、森永刑事!?」
盟の声は期待はずれより意外性が勝ってうわずった。
『アンタらのトコに豊島 一哉って男、依頼人で来た?』
新宿、歌舞伎町。
その外れの裏道に黒貼りの外車が停車していた。
車の運転席には外国人のガードマン風の男が座っている。
後部座席にはワインレッドのドレスワンピに黒のストールを羽織った、アジア系の女が座っていた。
女は大人の装いだが、顔は若干幼さが残る。
同じくガードマン風の別の男が車に向かってやってきた。そして無駄のない動きで助手席に乗り込む。
『目撃情報はいくつかとれました。やはりあの店に出入りしているようです』
ガードマン風の男は白人だが、中国語を喋った。
『ご苦労様、シド。で、アポロンは?』
女も中国語だった。どうやら女は中国人で、シドと呼ばれた白人の男は女の国籍に言語を合わせているようだ。
『今日はもう帰ったとの事です……。どうしても住処は掴めませんでした』
『そう。エミリオ、出して』
もう1人のガードマン風の男がアクセルを踏む。
先程の男、シドが再び口を開いた。

