HEMLOCK‐ヘムロック‐


「実はね、たまたま最近『Raiz』の名簿欲しがった人がいたのよ~!! だからスグ用意できたの~」

「え!?」


 界、透、泉のハズではない。では一体誰が――!?

 ホワイトボードをよく見ると最近かかれたと思われる、新しめの字で書かれた名前があった。
その人の数字は盟が今回足された分と同じ、3であった。


「誰か知りたい??」


 詠乃はホワイトボードを凝視する盟の行為を止める事なく誘い掛けた。
勿論、他の客のプライバシーに関わるそんな提案は、情報屋として正しくは無い。

しかし詠乃の笑顔は確信犯であった。


「いえ、……なんとなく分かりました。それにこれ以上数字増えても払えませんから」


 盟は財布から7万ちょうど出し、詠乃に差し出した。
慣れた手付きで詠乃はお札を数え、確認していく。


「盟ちゃんは全額返済ね♪」


 ホワイトボードの盟の数字は全て消された。ボードの数は、どうやらツケの金額を表しているらしい。
盟は3万で今回の情報を買ったのだ。


 つまり、盟が見つけたホワイトボードの名前の人物も、最近3万で“何かの情報”を買っているのだ。

その情報はきっと……。