HEMLOCK‐ヘムロック‐




 2人が慌てて興信所に戻ると、鞠 あさみのマネージャー、豊島 一哉が本当に来ていた。
1日に2回もこの興信所に来た依頼人は彼が初めてだ。


「大変お待たせいたしました、豊島様」

「早く! 早くあさみを探して下さいっ!! きっと、あの男の所に行ってしまったんだっ!!」

「とっ豊島様、落ち着いて下さい。詳しく事情を話して頂けませんか? あの男とは、例のストーカーの事ですか?」


 一哉が界の肩、……と言うか長身の界には届かないのか、界の二の腕を掴んで揺する為、彼はガクガク揺れながら依頼人を宥める羽目に。
おかげで喋った時、誤って舌を噛みそうになった。


「話せません……。あさみの芸能活動に関わります! あの子をここで終わらせる訳にはいかないんですっ!!」


 一哉は本当に焦っていた。
しかし、あさみと“あの男”の間に何かがある事は界達にも伝わった。

そして一哉が何かマズい事を隠してる事も。


「豊島様、我々は依頼人の秘密やプライバシーは絶対に口外する事はありません。
このままでも私達に出来る事は少ないです。事を急ぐなら、話して下さいませんか?」


 たまりかねて盟が言った。