HEMLOCK‐ヘムロック‐

 界がテーブルの携帯を取ろうとしたが、泉の方が先に素早く手に取る。


「さっきチラッと見たから大丈夫!」

「……じゃあ悪ィけど、行ってきてもらっていいか?」

「おっけ~」


 泉は意気揚々と事務所を後にして行った。


「じゃあ俺達も鞠 あさみの依頼について計画立てようか」

「何か気になる……」

「んあ?アサミンが?」

「違う。泉。なんか変」







 ネッシービルジングのエレベーターを降り、軽やかな足取りで泉は通りに出る。


 盟の読み通り、泉はある企みを持っていた。

同じ探偵で、界の兄、礼二なら『HEMLOCK』について知ってるかもしれないと考えたのだ。


「泉が界くんの所の社員って言えば会えるかなぁ~? まぁ、アルバイトだけど」


 泉は話しに聞くだけで、礼二とは直接会った事がなかった。

 その内、前方にさっきの礼二の所の社員と依頼人が見えてきてしまった。


「おっとと、礼二さんに会う前に鉢合わせたら意味ないじゃん」


 泉は回り道した。