HEMLOCK‐ヘムロック‐




 一方、界にメールを送った後も呈朝会の2人組をつけていた透は、2人が怪しげなバーに入って行く所を目撃し、写真に収めていた。
数分後に先程界と接触した大石も一人で店に入ってゆき、もちろんその様子も逃さなかった。


「さてさて、俺も追いますか」


 透も店に入ろうとしたその時、店の中から屈強そうな男がのそっと現れた。
透とその男の目がふいに合った。


「お客様、会員証は?」

「え?」


 ついに透が中に入る事は叶わなかった。






 界の口からそこまで聞かされた正也は、混乱しながらも静かに頭の中で事を整理した。
男達の不穏な行動に、妻が関わっているやもという嫌な予感を振りほどくため、整理した内容を口にしてみる。


「今までの話で、その呈朝会という暴力団と大石と言う男が繋がっている事はわかりました。
ですが、調査の記録とその証拠写真では、麻薬のやり取りは証明されませんよね?妻だって大石とは息子の事で会っていただけかも……」

「これらだけでは無理です。薬について話している所を聞いたのはウチの社員だけですし。しかし、証拠はこれだけではありません。泉!」


 界に呼ばれた泉はノートパソコンを持ってきた。彼女が黙ってエンターキーを押すと、雑音が再生された。