HEMLOCK‐ヘムロック‐



 とにかく、何者かがまりを狙って病院に侵入して来たのは紛れも無い事実。


「野辺刑事ですか? 今伯方 まりの病室に看護師に化けた不審者が現れました。何人かこっちに回してくれませんか?」

『なんだと! 分かった。お前は大丈夫なのか?』

「なんとか。不審者は拘束しました」


 しかし映は刺された右腕が痺れてきているのを感じていた。恐らくまりに使おうとしていた注射器の中身は麻痺性の薬物だったのだろう。


『映、急いで病室から離れた方がいい。病院内の様子がおかしい』

「おかしい?」

『那琵須の話しだと、今日になってギプスしてる患者が増えたらしい』


 那琵須とは映の先輩刑事で、先週から足の怪我で実際にこの病院に入院している。


『病院に確認取ったが、何人かここのは患者じゃないらしい。』

「まさか。患者のフリして紅龍會が乗り込んで来たって事ですか?」


 馬鹿げているが、実際看護師に紛した敵に遭遇している。
患者や一般人にも敵が紛れているとすればこの上なく最悪な事態だろう。


『とにかく人が多い所は避けろ。地下駐車場に車を用意しとく。そっちにも応援を送る。合流して病院を出てくれ』

「はい!」