HEMLOCK‐ヘムロック‐

 本当はもっと泣いたり喚いたりするかと思っていた映だが、まりは固まると言う言葉通りのままだった。


(この人は、今だけじゃなくて、俺にもずっと脅えてたんだ。
界が居なくなって、盟ちゃんも今来れなくて……)


 唐突にまりの気持ちを理解した気分だった。それが当たっているかは分からないが、自分も無神経だったと映は内心反省する。


「伯方さん、怖い想いをさせてすみませんでした」


 映は倒れた点滴や乱れたシャツを整えながらぽつりと謝罪した。
ポカンと口を開けてまりは映を見つめていた。


「俺は伯方さんの事も、界や盟ちゃんとの事情も全部知ってます。でも、俺や森永刑事が必ずあなたを守りますから」


 目は口程に物を言う。
そんな言葉がある程だ。まりの目を見ていると、今まで謎に思っていた彼女への疑問があっさりと解けてゆく様に映には思えた。
なぜなら今まりは、やっと真っ直ぐに映を見つめ返してくれている。
しかし、自分の事も見透かされている様な。彼女の瞳は、そんな不思議な気持ちにさせる。


「とにかくここを出た方がいいです。今仲間を呼びますから」


 偽物の看護師を縛ると、映は携帯電話を手にした。