「!! ……そうです! この男は!?」
「彼の名は柏崎 簾。呈朝会という暴力団の男です。奥さんが暴力団員と関わった理由が、この男です」
次に出したのが塾講師、大石の写真だ。咲恵のパート先の前で咲恵と写っている写真だった。
「大石 惣介、橘様の息子さんの塾の教師です。ご存知ですか?」
「いや……」
正也は息子の塾の講師どころか、学校の先生も分からない。
「今から真実をお話しします。心して聞いて下さい」
昨日、透からのメールを受け取り、警察に連絡した後。
ドカッ!!
「うわ゛っ」
「わっ!!」
大石をつけていた界が、彼と激しくぶつかり合った。と言うか、界がワザとぶつかっていったのだが。
「すみませんっ! お怪我はありませんか?」
「い、いえ」
倒れ込んだ大石に、手を差し延べて起こす。地面で汚れた彼のスーツを、界はその手で払いまくった。
「いや~、ホントすいません! 服もこんなにしちゃって」
パンパンパンパン
「だっ大丈夫ですから。そんなにはたいて頂かなくて結構です」
あまりに界があちこちはたくので、大石は迷惑そうな表情を浮かべた。
「こちらの鞄も……」
「それに触んな!! ……あ。さわらなくて、大丈夫です、自分のですから」
大石は鞄を拾うと足早に去って行った。
「おーおー、分かりやすい♪」

