(でも、こうする事が結果としてはまりさんを紅龍會から守る最善策だ。問題は界の妹って事が上にバレたら、俺と森永刑事は懲戒尋問、首斬りコース……、だな)
彼は彼で、盟の様に何度目か分からないため息をついた。
それで無くとも女性であるまりと2人きりで過ごすのはなかなか気を遣う。
何より外見こそああだが、まりは映と同じ25歳。余計に気まずくなってしまう。
映はカフスを外すと、花瓶の古い水を水道に流した。蛇口を捻る力が強かったのか、勢いよく跳ねる水のせいで結局捲った袖まで濡れてしまった。
(と言うか、普通だったら女である森永刑事の役目じゃないのか!?)
それはもっともだが、森永刑事は映より地位が上だ。
映は若手でもエリート刑事だが、森永刑事はその上を行く超エリート刑事なのだから仕方がない。
(後遺症で喋れないのは分かるけど、せめて筆談で会話してくれたらなー。片っ端から無視だもんな)
さすがにそんな状況が3日も続くと、仕事とは言え堪える。
個室部屋仕様の広く、快適な空間も2人にとっては妙な緊張で震える空気の体積が増えただけだった。

