HEMLOCK‐ヘムロック‐

 身勝手な責任転嫁と分かっていながらも、透は焦りと自責の念からついそう思ってしまう。

現に泉は誘拐されたのだ。


「ところで、詠乃さんは今どこにいるか分かりますか? 最近お店の方を訪ねても居なくて」


 透は彼女の店を訪ねる事以外で彼女と連絡を取り合う術を知らない。
知る限りでは、彼女と個人的に連絡を取れる人物は目の前に居る礼二だけなのだ。


「詠乃君には紅龍會の追っ手側の線を調べてもらっているが。何か用があるのか?」

「いえ」


 結局、詠乃を頼ろうとしている自分に自己嫌悪する。
頭が理解していても落ち着く事等出来ない。




 しかしこの透の杞憂は、数時間後に訪れる最悪の事態の前触れだったのかも知れない。