HEMLOCK‐ヘムロック‐



 むしろ透としては、泉の事が無ければ界の後を追うつもりでいた。
しかしそれは透の力だけではあまり意味を成さず、第一、界が透を“日本に置いてきた”と考えるなら、その意にそぐわない行為だ。

 透が日本で盟達を守るのに必要な事――。





「そうか……。まさに、今、俺達がやっている事ですね」


 礼二に問われたからこそ、透は冷静に理解する事が出来た。


「紅龍會に繋がってる日本の組織を暴く事――追っ手が何者かも分からないなら、こちらから手を打たないと。ですよね?」

「ああ。こうも早く泉君が巻き込まれてしまったのは最悪の事態だが、結果、鬼竜組に辿りつけた。
日本でも俺達がやらなければならない事はまだまだある」


 そう言って礼二は透の肩を叩いた。そんな事が透にとってはとても誇らしく、なんだか強くなれた気がしたのだ。




(それにしたって、泉がこうなったのは俺の責任だ。俺がもっと早く森永刑事に打ち明けていれば……?
いや、詠乃さんからもっと多く紅龍會の情報を求めていれば、こんな事には……)