HEMLOCK‐ヘムロック‐




「そうか。やっぱりあの小包はクスリか。奴らはあれで稼いでいるワケだ。透のヤツ、大手柄だな」


 界は透からのメールの文章の終わりに再び目をやった。



『クスリは「HEM」かもしれない』



「急がないとな……」


 そのまま界は携帯で電話をかけた。


「黒菱興信所の黒菱 界です。警視庁捜査一課の森永巡査部長をお願いします」







 次の日、界は依頼報告として橘 正也を呼び出した。
報告の日ではなかったが、重要な話しと言う事で、正也は時間を作って興信所へ来てくれた。

 今日は盟ではなく泉が正也を案内し、お茶を差し出した。正也が座るソファの向かいに界が座る形で報告をしている。


「結論から言うと、奥様に不倫という事実はございませんでした」

「えぇ!? でも私は妻が男とホテルに入る所を見たんですよ?あれは……?」

「一応確認しておきますが、その男はこの男で間違いないですね?」


 界はそう言って柏崎が写っている写真を出す。