HEMLOCK‐ヘムロック‐

 界は目を見開いて固まった。界がここに来るまでに出会った男で該当するのはただ1人。

 ベンジャミン・マクミラン。

 彼がアイリーンの両親と友人だった事と、現在の紅龍會での立場を照らし合わせると、1つの憶測が生まれた。


『まさかあの男、幹部なのか!』

『そう。彼も今は紅龍會の最高幹部なの。最高幹部の中で研究員として携わっているのは、現在“ヘスティア”の私と“ポセイドン”のベンだけ』


 つまり紅龍會の科学研究は、実質この2人が仕切っているのだ。

 だとすれば、界にはもう1度ベンジャミンに会わなければならない理由があった。


(必ずこの女か、あの髭の男が“アレ”を管理してるはずなんだ……!)


 界は執拗に迫るアイリーンのポーンをどうにかしなければならなかった。
しかし彼の手元の駒でポーンを取れるのは、最早キングの駒のみ。守りが手薄な状態ではあったが……。

 界はやむを得ず黒のキングで白いポーンに制裁を加えた。

瞬間。


『チェックメイト』


 図らずも、界はポーンを奪い取る事で、自らアイリーンのナイトの圏内に入ってしまっていた。
“チェック”を掛けるどころか、いきなりの王手、詰み。