『私は紅龍會に入る為に何でもする覚悟だった。
……なんて言っても、たかだか11歳の子供には何も出来ない。私が紅龍會へ入る為に、実を言うと彼が色々面倒を見てくれたの』
アイリーンの話が終わる頃にはお互いにチェス駒も減り、勝負は佳境に入っていた。
ここまでお互いの駒を取り合う勝負となったのは、ある意味互いの実力が均衡しているからであろう。しかし実質、勝負は界が押されている状態だった。
アイリーンのポーンが1つ、界の陣地に到達しそうである。
もし到達した場合、そのポーンはキング以外の好きな駒1つに変化させる事ができるのだ。
(ここでクイーンとかにされたら確実に終わりだな)
少なくなった手駒で、アイリーンのポーンをどう止めるかが問題であった。
『なんでその男はお前の面倒をみるんだ?』
『彼は私の両親の大学時代からの友人だったの。あなたの両親は彼の友達をも奪ったってわけ』
やはりアイリーンはポーンを進めてきた。
『驚くだろうな。俺が紅龍會に来てるって知ったら』
『そうね。でも向こうは知らなくても、あなたはもう彼に会っているのよ』

