子供の純粋で残酷な視線に、男は身じろぐ事も出来なかった。
「聞いたんじゃなくて聞こえたの。あの日、病院のベッドで」
「あれは君の事ではないよ」
「いいえ。私の事よ! おじさんの部屋の写真にパパとママが写ってた!!
私、裏側まで見たのよ。“オルフェウスとエウリュリケ”って書いてあった!」
オルフェウスとエウリュリケ――共にギリシャ神話に出て来る神と人間の名前である。
琴座にまつわる星座の神話で知られている。
紅龍會で最高幹部を意味する12柱の神の名ではないが、地方幹部のコードネームとして使われていた。
つまりアイリーンの両親は紅龍會地方支部の幹部だったのだ。
「人の物を勝手に見たのか!」
「勝手に連れて来られて、勝手に1人にされたんだもん! 私の勝手にしていいでしょ!?」
男は反論出来なかった。おそらく、少女から与えられた動揺の方が大きかった。
「こないだ夢を見たの。
ここじゃなくて……、パパ達と暮らしてた時の家で寝てて。夜中になんとなく目が醒めて、パパとママの部屋に行ったの」
アイリーンは無意識に皿の上のマッシュポテトをフォークで刺していた。
「聞いたんじゃなくて聞こえたの。あの日、病院のベッドで」
「あれは君の事ではないよ」
「いいえ。私の事よ! おじさんの部屋の写真にパパとママが写ってた!!
私、裏側まで見たのよ。“オルフェウスとエウリュリケ”って書いてあった!」
オルフェウスとエウリュリケ――共にギリシャ神話に出て来る神と人間の名前である。
琴座にまつわる星座の神話で知られている。
紅龍會で最高幹部を意味する12柱の神の名ではないが、地方幹部のコードネームとして使われていた。
つまりアイリーンの両親は紅龍會地方支部の幹部だったのだ。
「人の物を勝手に見たのか!」
「勝手に連れて来られて、勝手に1人にされたんだもん! 私の勝手にしていいでしょ!?」
男は反論出来なかった。おそらく、少女から与えられた動揺の方が大きかった。
「こないだ夢を見たの。
ここじゃなくて……、パパ達と暮らしてた時の家で寝てて。夜中になんとなく目が醒めて、パパとママの部屋に行ったの」
アイリーンは無意識に皿の上のマッシュポテトをフォークで刺していた。

