HEMLOCK‐ヘムロック‐


「そんな事……!! ソイツになんの意味がある!?」


 界は頭を抱え込んでうなだれた。最早、紅龍會への潜入方法など、彼の悩みからは完全に外れていた。


「お願い、カイくん。カイくんなら解るはずでしょ!? 彼女の気持ちが! 憎しみの強さが!!」


 イオは界の肩を掴んで訴えかける。


「カイくんが紅龍會を潰すって事は、そんな彼女と戦わなくちゃならない。
でもね、彼女を理解して助ける事が出来るのもカイくんだよ!?」




 重すぎる。

 界は色んな想いに押し潰されそうだった。



 界の両親の罪に巻き込んでしまった彼女を、

 漆黒の憎しみを抱く彼女を、

 まりをあんな目にあわせた彼女を、

 助ける事など出来るのだろうか?


 許す事など出来るのだろうか?