「アイリーンは組織とは無縁の生活を送っていた。けど、11歳の頃に紅龍會の存在を知って、14歳で自ら組織に加わったんだ」
「加わったって、そんな簡単に入れんのかよ!? 14やそこらで」
「入れる訳ないじゃん。2世だって早くて15、6でだよ。まぁ、メイは被験者としてアフロディーテのコードを6歳で受けてたケド……」
イオは一応、2世としてのプライドなのか、簡単に思われた事に対して口を尖らせた。
しかし、思い出したかの様にふっと表情に陰を落とした。
「アイリーンは普通じゃ無かった。普通の子だったけど、紅龍會に入る為に血を吐く想いで必死に勉強したんだと思う」
「……勉強?」
「そう。紅龍會の化学研究員になる為に。
彼女の両親も紅龍會の化学研究員で、地方支部の幹部だった。アイリーンは両親の頭脳明晰を受け継いでいたんだね。彼女は研究員を志し始めて、たった3年で努力に報われた」
まるでどこかで聞いたような話であった。
界は胸の中でザワザワとする想いと、頭に巡る不和の予感に耐えながらイオに尋ねた。
「その、アイリーンって女は……、いくつの時に紅龍會を知ったって?」
「11歳」
「今いくつだ? その女」

