HEMLOCK‐ヘムロック‐

 森永刑事の推理が、イオの話に基づく核心にかなり近い事に、透は驚きより恐怖を感じた。
もしその女性がまりと同じ、抗体、X-イジョウムの持ち主だったなら、それはHEMLOCKの副作用である。


「女はもう死んでて確かめようが無いが、これらの事から仮説を立てると、HEMLOCKは多量摂取で致死性を発揮する。が、稀に致死では無く、細胞の急激な老化を促す。

もし、もしも、伯方 まりさんがHEMLOCKを常用してたとするば、映が見た女性は黒菱 界の妹である可能性はゼロじゃない」

「……もし、その仮説通りで、その入院してる老婆が界の妹さんなら、どうなるんですか」

「どうなると思う?
まず、警察的見解では、14年前彼女が失踪した事件と、HEMLOCKを日本に流した組織が関連して来る。もし令状が下りれば、伯方 まりさんはもちろん、黒菱 界にも厳しい追求が行われるだろーな」

「……」



「だから全部話せ。透」


 森永刑事のその言葉に思わず透は顔を上げた。
そこには刑事ではなく、相手を真剣に想う森永 氷菓子としての顔があった。


「まだ14年前の界の事件の事も、今回の仮説も、上には話してない。アタシや映を信じろ!
お前らはもう、HEMLOCKが何か掴んでるんだろ?」



 透は観念したのか、救われたのか、自分でも解らないまま森永刑事に全てを打ち明けた。

 森永刑事は、透が話し終えるまで、全て黙って聞いていた。