HEMLOCK‐ヘムロック‐

 森永刑事の言葉の後半は小声で、透にしか聞こえなかった。


(いや、森永刑事はHEMLOCKと界の14年前の事件に関連性があると、以前から読んでいた。――偶然かもしれない)


 ウェイトレスがランチBセットとアイスティーとカプチーノを運んでやって来た。
森永刑事はサンドイッチをすごい勢いで頬張ると、あっという間に1つ飲み下す。


「今から、アタシの馬鹿げた推理を話してもいい?」


「……どうぞ」


「あ、その前にさ、実は伯方 まりさんを見つけたのは映なんだ」

「えぇ!?」

「同僚の見舞いに行って、伯方 まりさんの病室に黒菱 界と盟が入ってく所を見たらしい」


(あのヤロ!!)


 透は心底焦った。しかし、それだけで伯方 まりの素性がバレるのだろうか?


「でもな、映が覗き見た女性は、伯方 まりさんではありえなかった」


 実際、映は看護士からの話しを聞いただけで、「覗き見た」の部分は森永刑事のハッタリだったが、透には充分効果的であった。


「ありえない?」

「まるで老婆だった……。らしい」

「老、婆……」

(まさか本当に!?)