HEMLOCK‐ヘムロック‐

 森永刑事に詰め寄られると思っていた透は、少し拍子抜けであった。森永刑事はお冷やをグビグビと飲んでいる。


「最近どうよ? 興信所の方は?」

「えぇ、今依頼の掛け持ちで……、少し忙しいです」

「黒菱 界も電源切る程だしな」


 今のは嫌みと探りの両方だろう。透は黙々とお冷やに口を付けた。


「ズバリ言うけどさ、伯方 まりさんが見つかったんだよねー。ホラ、14年前失踪した界のホントの妹さん」

「それ本当ですか!? だったら、界に連絡しないと」


 透は形だけの反応を演じたが、今更な事は分かり切っていた。
もちろん、森永刑事が本当に伯方 まりを見つけたどうかも半信半疑であるが。


あの老婆の様に変貌してしまったまりを本来の25歳と判断するには、森永刑事達には様々な材料が足りないはずだ。


「だから連絡したいんだけどねー。黒菱 界」

「本当に伯方 まりさんなんですか!? 彼女は今どこに?」

「都内の総合病院、とだけ言っとく。てかお前ホントは知ってんじゃないの?」

「知ってたら大騒ぎでしょう!」

「いや? アタシなら隠す。伯方 まりが、……“HEMLOCK”と関係してるならな」