HEMLOCK‐ヘムロック‐







 結局透は森永刑事に呼び出された。

 なんと呼び出された先が偶然にも以前、橘 咲恵の不倫調査で界と咲恵のパート先を張ったあのカフェだったのだ。
あの時座った窓際の席より、一列後方の席に透は案内された。
 今はもう咲恵は働いていないクリーニング店を、ぼーっと見つめて思う。


(そう言えば、あの捜査からまだひと月程しか経ってないのか)


「よ! 透」


 森永刑事がやって来ていた気配に透は全く気が付かず、ビクッと振り返った。


「待たせて悪かったな! お前もう昼喰った? あたしまだだから食べてもいい?」

「あ、どうぞ」

「透は? コーヒーでも飲む? 奢るけど」

「じゃあ、1杯だけ、ご馳走になります」


 森永刑事はメニューを開くと早々に注文を決定し、店員を呼ぶボタンを押した。
程なくしてウェイトレスがやって来る。


「ご注文はお決まりでしょうか?」

「えっと、ランチBセットとアイスティーと、コーヒー。エスプレッソ?」

「あ、カプチーノで」

「かしこまりました」