HEMLOCK‐ヘムロック‐





「さっき、電話がなかった?」

 盟は髪を束ねながらイオに問う。
かなり汗をかいてしまったので、今朝とは違うブラウスに着替え、仕事モードに切り換える。時刻はすでに14時に差し掛かっていた。


「うん。電話表示見たらモリナガ刑事からだったみたい。俺が出たらマズいと思って出なかったけど」


 イオは給仕室の方で何やら料理をしていた。
黒菱興信所の給仕室はコンロも導入しているので、簡単な料理も作れる。むしろ台所とした方が近い。


「そう、じゃあかけ直さなきゃ……」

「メイはまだ熱あるんだから、寝てなきゃ! ホラ、卵粥作った♪」


 イオは鍋つかみをして、給仕室から小さな1人用鍋を持って来て盟に見せに来た。盟の為に冷蔵庫の物で作ったらしい。


「お昼まだでしょ? 何か食べて栄養つけなきゃ」

「そんな、大した事ないから。私……」

「いいから! 俺の卵粥、スッゴく美味しいよ?」


 そう言って、半ば無理やり、盟の部屋に戻され、ベッドに座らされた。
イオは鍋を片手に、もう片方の手にレンゲを持ち、粥を掬ってフーフーと冷ました。


「ホラ、あーんして♪」