HEMLOCK‐ヘムロック‐

 白衣から覗く組んだ脚とスカートが悩ましい。しかし界の興味の対象では無かった。


『まぁ、大体はもうイオから聞いてる。アイツが知ってる範囲のあんたの事はな』

『なら大分知られちゃってるかしら。イオと私は付き合い長いし』

『……知られる様に仕向けたんだろ? アイツを日本に渡らせて』

『何の事かしら』


 お互いにくつろぐ様な大勢で話してはいるが、目の色だけは相手を刺すように鋭い。

 シンとした部屋の空気は張り詰め、逆に無音を通り越した音が聞こえてきそうだ。


『お前の気持ちが全く解らないわけじゃない。だが、お前は絶対に間違ってしまった』

『……何を基準に? あなたの“お父様やお母様”の基準?』

『そうじゃない。道徳だ』


 界は自分が道徳を語るのも非常に可笑しな事だと、言いながら感じていた。


『ハッ……! あなたの両親が道徳的だったって言うの!? 笑えるわ!!』

『違う! 決してそうじゃなかった』

『じゃあ何が道徳だと言うの? 正しい事なんて、個々の考え方次第。ましてや私の気持ちが解るだなんて……、
アンタにだけは言わせない!! 伯方 界!』