『はじめまして、私はベンジャミン・マクミランだ。ここの開発局のチーフをやっている』
(と言う事は、紅龍會とも絡んでいるのか)
界は内心確信した。
『大層な荷物だね』
口髭を軽く弄りながら、ベンジャミンは界のキャリーバックを指して言った。
『彼、卒論の資料を常に持ってるの』
アイリーンが代わりに答える。界は咄嗟に救われ、動揺を笑顔でごまかした。
『そうか! 私も是非読んでみたいな。研究テーマは何だい?』
『ごめんなさい、ベン。私達ちょっと時間がないの。彼の論文はまた今度持って来るわ』
『おぉ、引き留めてすまなかった! 卒論発表楽しみにしているよ!』
ベンジャミンは別れの挨拶を済ませて、界達とは反対に向かって行った。
その背にアイリーンが声を掛ける。
『そうそう、ランディが来てるの! さっきベンに会いに行ったから』
『おぉ、そうか! ありがとう』
ベンジャミンと完全に別れ、アイリーンは白衣を翻すように再び歩き始めた。
界もそれについて行く。
しばらくして彼女は、無数にある部屋のカードキーの1つにパスをスラッシュし、ドアを開けて界を招いた。
部屋には大きなテーブルと複数の椅子があり、見た感じ休憩室の様だ。

