HEMLOCK‐ヘムロック‐

 エレベーターに乗り、更に地下に進んでゆく。
着いた階は無機質な白い廊下が長く続き、等間隔で天井に監視カメラが設置されていた。
そのため界はむやみに発言出来なかった。

 自分がどこに向かっているか分からないまま、ただ黙ってアイリーンとランディについて行くしかない。
界に確信できるのは、今すぐには自分が敵として突き出される訳では無いと言う事。
そしてアイリーンは自分とサシで話しがしたいはずだと言う事。

 不安な状況ではあるが、界にとって悪い展開ではなかった。




「カイくんに、助けて欲しい人がいるんだ。紅龍會に」

「俺の……、親友なんだ」






 イオから託された願い。

 彼が救って欲しいと言うその親友こそが界の目前の女、アイリーン・イーグルトン。


 彼女の存在は、界にとって紅龍會と対峙するのに避けては通れない大きな壁であった。

 何故なら彼女は――。




『ランディは外してくれないかしら?』


 気が付くと廊下は突き当たりに来ており、左右に道が分かれていた。
アイリーンは口の動きが拾われぬ様、カメラの角度に気を配りながら発言した。


『私は彼と2人で話す事があるの』

『あー。まぁ、そうだな。じゃあ俺はヒゲのおっさんとこにでも顔出してくるわ』